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人にとって、選択肢がたくさんあるということは、メリットばかりではありません。逆に選択肢がありすぎると、選ぶことが面倒になってしまうものなのです。それはフリーランスが自由に仕事を選ぶことが出来るといった状況であっても同じです。もちろん生活をしていかなければならないため、ある程度の制約は受けるのですが、それでも仕事を選ぶ基準を明確にしておくことが大切です。
まず分かりやすいのは、報酬額です。
1年単位や1月単位に必要な生活費と、その期間当たり仕事に振り分けられる時間から、凡その目安となる時間単価を割り出すことが出来ます。しかしこれはあくまで自分の希望であり、通常他の同業者なら同じ仕事に対してどの程度の報酬を得ているのか、といった客観的な基準を知っておくことも必要です。
自分の実力を過信して高過ぎる報酬額を設定していても、クライアントから声が掛からなければ一銭の収入にもならないという現実は、会社勤めでは味わうことのない不安要素になるものです。そのため特に独立当初は安くても仕事をこなして食いつなぐという目先の利益に囚われてしまい、気が付けば同じような安い単価で仕事を受注するフリーランスとの価格競争に巻き込まれてしまわないとも限りません。そのため十分に検討した上で、自分で決めた時間単価を下回るような依頼に対しては、はっきりと断ることを原則にするのです。
もちろん仕事の内容によっては、「損して得とれ」で自らの実績としての宣伝効果が大きく、後々の評価を上げる類の案件もあります。特にエンジニアなどは、その仕事を見ればレベルが分かるという部分が大きく、初めてのクライアントも判断材料にしやすいものです。あるいはそうでなくても、どうしても自分がやりたい仕事ということもあるでしょう。
このように仕事を選ぶ基準は決して1つではありません。主に金銭的な理由から、自分にとって必要最低限守らなければならない基準の他にも、将来に渡ってその仕事を続けて行くために自分にとってメリットがあるかどうか、あるいは損得勘定を抜きにしてでも自分がどうしてもやりたい仕事なのかどうかという基準も大切です。
日本の商慣習として、契約書を作ってお互いに内容を確認するということを面倒がってしまい、口約束でなんとなく仕事を始めるということも少なくありません。継続的な取引でお互いに気心が知れており、信用出来る場合であれば良いのですが、フリーランスの場合には、立場の弱さを利用されて後々に泣きを見ることになるかもしれないという点は注意が必要です。もちろん報酬額の交渉も自分で行わなければなりません。