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資本主義社会において、経済的な取引は通常市場を通じて行われるのであり、需要と供給のバランスによってその価格が決定します。これをクライアントが仕事を発注し、フリーランスが仕事を受注するという場面に当てはめれば、需要と供給のマッチングが適切に行われれば、双方にとって満足の行く結果を得られるはずです。しかしクライアントとフリーランスの間には、単なるもののやり取り以上に、信頼関係が重要な要素になっています。そのためクライアントとの信頼関係を上手く築くことが出来るフリーランスが、最終的には長く仕事を続けて行けるというわけです。
現実にクライアントとフリーランスの立場が対等なのかどうかは、ケースバイケースといえるでしょう。
業務内容にも寄りますが、例えばフリーランスがエンジニアの場合、自らが一人か、せいぜい数人のチームに対して、クライアントが企業体であるということが通常です。そのため立場を利用されて、報酬を安くせざるを得なかったり、あるいは何度も仕様を変更されながらその費用を請求出来ないといったトラブルを抱える例もあります。
しかしその一方で、クライアントとの間に信頼関係を築くことによって末永いお付き合いを続けることが出来るフリーランスもいます。フリーランスにとって定期的に仕事を受注出来るクライアントを掴むことは、生活を安定させる上でも大切です。またクライアントにとっても、エンジニアの腕を見込んで頼む仕事の場合には、費用よりも完成度の高さで選ぶことになります。
つまりクライアントの重視するものを理解して、それを満たしてなお上を目指すような仕事をするフリーランスが、クライアントから選ばれ続けるのです。もちろん品質が二の次というクライアントにとっては、支払う報酬が安ければ安い方が良く、別のフリーランスが更に安い価格で受注するのであれば、情け容赦なくそちらに乗り換えてしまいます。目先の利益を追うあまり、そのような安売り競争に巻き込まれると、行き着く先は見えています。そのため結果として生き残ることが出来るフリーランスは、クライアントとの信頼関係を築いているといえるのです。
よほど競争のない独占的な業務でなければ、フリーランスの世界は実力勝負です。IT化が急速に進み、それにつれて活躍の場が増々広がって売り手市場といわれているエンジニアといえども、競争は熾烈です。そしてエンジニアとして現場で求められる、スキルや知識の専門性や多様性は高まる一方であり、それだけ責任も重くなっています。そのような変化の早い世界の中で選ばれ続けるためには、情報収集が欠かせません。努力して維持する実力が、クライアントとの信頼関係を深めて行くのです。