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バブル景気の崩壊後の不況によって、大企業のサラリーマンであれば一生安泰という目論見の外れた人が続出し、それと同時に手に職を付けた方が将来性があるという判断を下す学生や親も増えています。もちろん手に職を付けるといっても、職種によっては開業独立が制限されるものもあり、また勤め先があるにもかかわらず無理にフリーランスになる必要はありません。しかし単純に比較すれば、エンジニアが同じ能力を持つ場合に、会社勤めよりフリーランスの方が通常より高収入を得ているものです。
会社勤めをしていて手にする収入は、月給制を採るにせよ、年俸制を採るにせよ、多くは月に一度定期的に入ります。この金額は額面から様々なものが差し引かれているため、手取りの金額は低くなります。しかしその分、例えば税金をきっちり差し引かれているため、滞納の心配はありません。また、会社が折半する分を含めて社会保険を掛けてくれるお陰で、その保険料はしっかりと差し引かれるものの、労災や失業時の補償や、将来の年金の手当ても厚く、福利厚生が充実しています。
その一方でフリーランスは、報酬としてクライアントから受け取るものが、すべて自分の財布に収まるわけではありません。まず税金を納めなければなりません。そして社会保険に比べて割高な国民健康保険や、将来が心許ない国民年金に加入しているのが原則であるため、それらの保険料も支払います。従ってこれら公的な支払いのために、収入の半分は自分の手元に残らないものと予め覚悟しなければなりません。
会社勤めをしていれば、良くも悪くも会社の一員として行動します。そのため責任も会社内部で分掌されている地位に基づいて、多くは限定的に担うに留まります。正社員であれば、余程のことがない限り、解雇のような厳しい処分を受けることもありません。その一方で安定的な収入を保証されているために対外的な信用は高く、車や住宅のローンを組むのも難しくはないでしょう。
しかしフリーランスであれば、良くも悪くも自分の責任です。せっかく良好な信頼関係を築いて長年取引関係を続けていても、ちょっとした一度のミスで、クライアントの機嫌を損ねてしまえば、その先の依頼は無いでしょう。また一般的にフリーランスの信用は低く、まして開業当初などでは利用出来るローンも限られます。
また先行き不透明な時代に、会社の舵取りもそう簡単なものではありません。従来通りが成り立たず、また急速なIT化によって流行も読めなくなっています。そのような時代だからこそフリーランスとして挑戦することが成功を呼び込む場合もありますが、しかし流行に左右されて実力が役に立たなくなれば、一巻の終わりなのです。