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仕事選びに迷うのは、学生時代だけではありません。いざ夢の仕事に就いたと喜んでいても、当初の興奮状態から我に返ると、本当にやりたいことなのかどうか悩み始めたり、楽しくなくて幻滅を味わう人も少なくありません。また順風満帆の人生であったのに突然のリストラや会社の倒産や、あるいは病気や怪我で、仕事を変えざるを得なくなることもあり得ます。高度経済成長期のような、黙っていても収入が年を追うごとに上がるものという希望を、今の日本で抱くことは難しいでしょう。そこでフリーランスになることを選択肢の一つと考えるのであれば、どのような仕事を選ぶのかをよく考える必要があります。
社会人にとって、仕事とは人生の大部分を費やすものであり、必ずしも収入を得るための手段というだけに留まりません。むしろ生き甲斐や遣り甲斐を感じる対象でもあります。
アインシュタインの「相対性理論」ではありませんが、熱いストーブに5秒手を置くことを長く感じる代わりに、恋人と過ごす時間はあっという間に過ぎてしまうというように、好きな仕事をしていれば時間は苦もなく過ぎてしまいます。そして好きな仕事であれば我知らず集中して、もっと良くしようと自然に色々と工夫します。また興味のある仕事であれば、あれこれと自分で探求し、もっと深く知ろうとするものです。
フリーランスが実力勝負であるのを考えれば、このように好きな仕事や興味のある仕事を選ぶ方が、結果として長続きしやすいといえるでしょう。
フリーランスといえば、クライアントとの付き合い方や営業能力や運も含めて、実力次第で収入が上がります。
しかし、そもそも需要に乏しい分野であれば、いくら実力が高くても、あるいはなり手がないために独占市場だとしても、生活を支えられるだけの仕事がありません。そのため家族が生活して行くために必要な収入を得られるだけの、コンスタントな受注が見込めるのかどうかという判断は地域性を含めて大切です。
また、流行り廃れが激しくて、将来の展望を描きにくい職種は要注意です。日本人の気紛れな流行に振り回されたフィリピンのナタデココ騒動が、地域経済に深刻な影響を与えてしまったなどという例もあるのです。その点はエンジニアも、今をときめくIT産業で引く手数多とはいえ、よく考える必要があるでしょう。
技術革新がめざましいため、あっという間に陳腐化してしまう技術や知識を積み上げても、自分自身の実力が通用する世の中であり続けるとは限らないのです。そのため一般的には流行にあまり左右されず、専門性の蓄積や経験が物を言う分野の方が、フリーランスになっても成功しやすいといえるのかもしれません。