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システム開発に関わるエンジニアが現場で求められる仕事は、経験を積むにつれて変化します。専門的なスキルや知識を深めて、それを存分に活用するというのはもちろんなのですが、問題解決という形でその活用が求められるのです。つまりクライアントの漠然とした期待に対して、最大限具体的に応えられる提案が可能なのか、あるいは突発的に起こった問題に対してどれだけスケジュール通りに求められる品質を維持した解決策を捻り出すことが出来るのか、といった具合です。
このような期待や問題に対する策を考える時、まずその期待や問題そのものを正確に捉える必要があります。いくらエンジニアとしての専門的なスキルや知識が高度であっても、それを適切に使うことが出来なければ意味がありません。
例えばクライアントのニーズには、クライアント自身も気付かないものも含まれます。そのためクライアント自身の口から言葉として表現されたものを、そのまま言葉通りに理解してしまっては、かえってニーズを見誤る場合もあるのです。
上手くニーズを探り当てることが出来る人は質問を上手に使います。そしてクライアントに何をどのように尋ねれば、どのような解答を得られるのかという想像が出来るのです。
この場合に答えを自分の思い通りに誘導してしまい自分自身をも惑わせないようにするためには、尋問のように「はい」「いいえ」で答えさせるクローズドクエスチョンではなく、ある程度相手に自由に話してもらうオープンクエスチョンが有効です。
もちろんクライアントのニーズといえども、正確な情報を掴むためにはニュースソースを把握する必要があります。つまりそもそもその組織の中で、誰がどのような情報を持っているのかという、質問する相手を間違えてはいけません。
正確なクライアントのニーズを掴んだ後は、エンジニアとしてそれを叶えるための最適なシステムを提案出来なければなりません。ここで最適というのは、クライアントのニーズに応じて、求められるものが変るからです。従って同じくニーズを満たす案を、一つだけではなく複数思い付かなければなりません。しかし、例えば性能水準は同じでも、予算や調達出来る資材など、クライアント側の環境に合わせて、より安全で効率的で満足の行く方法を選ぶのです。
このような提案を繰り返して成長するエンジニアの仕事は、新たな挑戦の連続になるでしょう。クライアントの漠然とした要望にも、軽々しく「出来ない」とは言わないことから、その挑戦は始まります。そのようなエンジニアは、これまで通りの慣れた方法に満足せず、常にもっと他に新たな選択肢がないのかと追求するものなのです。